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ぼつぼつがたり(4) [独白]

☆もう半年以上もこの「ガラテア」の更新がないままになっていた。ので、とりあえずは今年も押し迫ったことだし、久々に更新することにした。


☆…☆…☆…・・・…☆


☆想定の範囲内になかったといわれる、あの巨大津波を伴い、およそ2万人もの命を奪い、行方知れずにしてしまい、おまけに原発まで破壊し、この国が放射能漬けになるきっかけを作った、未曾有の震災は、私たちの文明の恩恵に浸りすぎてたるみきった、自己中心的な魂を、ある程度刷新するのに充分だった。

☆みんな、周りの人とのつながりを大切にしたいと思うようになり、婚姻率も多少は上がったことだろう。何しろ東北の太平洋沿岸の人々は、あの震災で大切な人や家を失い、精神的にも大きなダメージを負ったのだから。

☆それを観ていた被災していない我々の大多数は、家族と仲間とは何時までも繋がっていたいものだと、強く願うようになった。そして…人のために何かしたいという、利他の芽が我々の中に芽生え始めたのである。

☆この利他の芽が、何時か大樹と育ち、仮令如何なる障碍をかかえた人であっても、またあるいは如何なる肌の色の人であっても、共に差別排斥の悲運を蒙ることなく、“みんな違ってみんないい”の共存共栄の思考様式が出来上がり、どんな人間でも幸せに人らしく生きられる国土に、この腐敗しきった日本を変えていくことだろう。

☆世を見渡せば、韓国野郎は出て行けだの、在日コリアンは失せろだの、排外的な言辞をあからさまに言うバカがいる。それもインターネットという、匿名でも意見を堂々といえる場で、である。そういうやつらこそこの国から出て行くべきであると私は言いたい。外国と繋がっていなければ、日本は生きられないのだ。みんな違ってみんないい、という共生の哲学は、彼らにとってはその本質からして全く理解できない代物であるばかりでなく、それを受け入れたら、おのれのアイデンティティを見失うものなのだろう。

☆とにかく、せこい政治的な理由を持ち出してまで、外国出身者との共存を嫌悪する者たちに、日本の未来について語る資格は毛ほどもないと言わせてもらう。あたかもナチスの如き“純血主義者”は、最早今日において、存在意義を完全に失った、といっていいだろう。

☆クリスマスイヴの今日、有楽町あたりや銀座あたりを歩いていた。有楽町ビックカメラの前で、ビッグイシューを売っていたおじさんを見かけたので、お金を払って購入し、別れ際にひと言、頑張ってね、と声をかけた。おじさんは笑顔を見せてくれた。

☆有楽町から京橋を越え、日本橋を経て新常盤橋のあたりまで来ると、あたりはもう真っ暗けだ。ビルの明かりだけが、わびしくなる心持を支えてくれる。シコシコ歩いているうちに、なんと見覚えのある看板が見えてきた。神田小川町名物(?)「顔のワイシャツ」の、にっこりしている丸坊主のおじさんの大きな看板だ。聞いたところでは「顔のワイシャツ」の創業者だか誰だかの顔がモデルだそうである。

☆このおじさんは創業以来、ずっとあの顔で小川町の一角で笑っているのだと思うと、あの看板が何時までも残っていて欲しいと願わざるを得ない。かつて一世を風靡した音楽集団「たま」の楽曲「まちあわせ」にもこの「顔のワイシャツ」が登場する。もっとも、その中では「神保町、顔のワイシャツのま~えで~…♪」と歌われているが…。おいおい!神保町でなくて小川町だよ、と言いたいところだが、それはそれで、まぁご愛嬌ということで。。。

☆やがて秋葉原に来る。まだまだ明るいが、電気街では老舗の、ラオックスとか石丸電気のビルのネオンが消えている。節電の故か…やはり。

☆とある土産物屋に入る。変な形をした水鉄砲がある。良く観ると男性自身の形をしている。うわあ~、これじゃアダルトグッズじゃないかえ。横にはポヨンポヨンとしたボールがおいてあり、それは女性のおっぱいの形をしていて…。アダルトすぎるよぉ。周りを見ると今流行りのAKB48のメンバーの顔写真や生写真が張ってあったりしている。その下にいかにもアキバ的な「私は神だ」「ショボーン( ´・ω・`)」などの笑えるフレーズや顔文字キャラのグッズがあったりする。

☆秋葉原を後にして、電車の中の人となる。車窓からスカイツリーが点灯するというので、一所懸命車窓の外を見る。ほんのりと白い明かりがツリーに点っている。あの下では寒さに耐えながら、その光を見て聖夜を祝う人々がたくさんいるのだろう。

☆斯くして、12月24日の寒い夜はふけていく・・・。
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